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解雇されたときには弁護士に相談すべきか

  会社で働いて会社から給料をもらって生活をしているというひともたくさんいますよね。

 法律的には会社と従業員との間で「雇用契約(労働契約)」を締結していることになります。

 

 「会社とトラブルになった」という相談もたくさんありますので、労働法シリーズとして、最初は解雇された場合に弁護士に相談するべきかどうかについて、弁護士目線で解説していきたいと思います。

 

 

1 基本的には弁護士に相談すべき

 日本の労働法・裁判例では、解雇された労働者に有利な判断がされるケースがとても多いです。そのため、解雇は基本的には「不当解雇」であると考えて弁護士に相談してもいいと思います。

 

 解雇された人の中には「私が解雇されるはずがない!不当解雇だ!」というひともおり、そういうひとはすぐに弁護士に相談します。「先生、会社に不当解雇されたんですよ。どうすればいいですか?」と、弁護士が判断する前に自分の中で結論を持っており、どうやって会社に復讐するかその方法を聞くために相談に来ています。

 

 しかし、上記のとおり解雇は基本的に「不当解雇」と考えてしまってもいいですので、「私が悪かったから解雇されたんだな…」と思った人であってもとりあえず弁護士に相談するべきです。弁護士は守秘義務を負ってますから解雇されたことが周囲の人に知られることはないですし、無料相談であれば負担はありません。

 

 解雇の中には争っても不当解雇と認められないケースもあるかもしれません。しかし、そのような場合には次の職を探すきっかけにすることもできます。

 

2 なんとか会社に残りたいという相談は難しいことが多い

 即日で解雇される場合もありますが、多くの相談では解雇予告を渡されて1ヶ月後に解雇されると分かった時点でいらっしゃいます。

 この期間であれば解雇はされていない段階ですので、「解雇されたくない!今の会社で働き続けたい」と考える相談者もいます。しかし、解雇というのは会社が取れる一番強い処分です。もう同じ会社で働いて欲しくないという意思表示です。

 人間関係で言えば、「離婚しましょう」と言われたよりも強い意思表示です。離婚しようと言われてからの人間関係回復は難しいです。それと同じで解雇を告げられ、書面まで作られた場合にはもう働き続けることは難しいです。

 

 もちろん不当解雇であることを主張し、解雇が無効であれば、会社と労働者との労働契約は残り続けていることになるのですから、翌日から何事もなかったかのように出社し、仕事を始めることはできます。しかし、会社としては解雇は有効と考えているのですから、法的に無効な解雇であっても解雇した従業員に仕事は与えないですし、給料は払いません。また、会社への立ち入りを禁止することもあるでしょう。

 

 そのため、解雇された場合には「こんな会社やめてやる!」と思い切ることが大事な場面も多いでしょう。

 ただ、和解をするなかで会社に復帰できる可能性もありますので、「解雇された会社に残ることが自分にとっていいのだろうか」「復帰したとして他の従業員との関係で働きづらくないだろうか」と考え、それでもいいというのであれば復帰したいという要望を弁護士に伝えるために相談に行ってみましょう。

 復帰は仕方ないが不当解雇は許せないというのであれば解決金を取れるケースもあるので弁護士に相談に行ってみましょう。

 

 

 なお、会社に在籍し続ける自体に価値があるケースがあります。

 例えば、新卒で採用された初めての会社に試用期間満了で本採用拒否(実質解雇)されてしまったが、このままではキャリアに傷がついて転職が難しくなりそうだという場合もあります。

 不当解雇であることを争い、仮に会社に残ることができなかったとしても、不当解雇であることを認めさせ、退職日を1年ごとすることで見た目のキャリアをよくすることはできます。

 このような場合には会社に残ろうとして弁護士に相談するべきでしょう。

 もちろん経歴上在籍していたとしても実際に仕事をしていたわけではないのでキャリア的に意味がないかもしれませんし、1年伸ばしたところで意味がないという判断もあるかもしれません。

 

 

 

 結論として、解雇されてしまった場合には弁護士に相談するべきです。その場合には解雇予告通知書や解雇理由証明書を準備しておきましょう。会社から受け取っていない場合には、会社に対して発行を請求しましょう。

 特に解雇理由証明書を準備してあると弁護士としても見通しを立てやすいので充実した相談になると思います。