5分で読める法律相談所

弁護士による実務・時事ネタ解説。5分以内でスキマ時間にも読めるような内容で書いていきますよ。

詐欺にあったときに弁護士に相談するべきか?それとも警察に行くか?

 

「詐欺にあった。相手のことは絶対にゆるせない。お金を返して欲しい」と意気込んで弁護士に相談に来る人はかなりの数います。

詐欺にあった場合に弁護士に相談することは有用です。

しかし、とりあえず法律事務所に電話をかけるだけでは依頼を断られてしまったり、無駄に時間がかかって相談料ばかりかかる結果となるでしょう。

 

そこで、詐欺にあったと感じた場合に、どのように行動すべきか弁護士が解説します。

 

 

1 まずは証拠を集めましょう

 詐欺は、刑法において詐欺罪(刑法246条)が成立するだけでなく、民法において不法行為民法709条)となります。

 

(詐欺)
第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

 

不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

 

 

詐欺とは、簡単に言えば、「人を騙して財産的な価値のあるものを受け取ること」となります。

そこで、弁護士にせよ、警察にせよ、相談する前には、

①人を騙した証拠

②財産的な価値のあるものを渡した証拠

を集めておくといいでしょう。

 

①人を騙した証拠としては、

・LINE

・SMS(ショートメール)

・メール

・電話の録音

・契約書

・騙される前に説明を受けたパンフレット

などが考えられます。

 なんでもいいので詐欺をした人とのやりとりは全て残しておきましょう。とにかくたくさんあった方が有利です。

 

②財産的な価値のあるものを渡した証拠としては、

・振り込みをしたときの明細

・通帳

・領収書

・預かり証

・お金を渡した・受け取ったと書かれたLINE・メール・メッセージ・録音

などが考えられます。

 現金を手渡ししてしまったという方もいるかもしれませんが、その際はその旨を弁護士や警察官に伝えましょう。

 

 

2 証拠を集めたら時系列順に何があったのか整理をしましょう

 

 詐欺というのは、お金を盗まれた場合などと違い、お金を取られるまである程度時間がかかるものです。

 

 そこで、①いつ、どうして、誰に出会ったのか、②いつ、お金を払ったのか、③いつまで連絡が取れており、いつから連絡が取れなくなったのかを整理しておくとよいでしょう。

 相談にいらっしゃる方の中には、自分で時系列表を作成して持参される方もいます。

 そのような方の場合には充実した法律相談ができることが多いです。

 

 

3 相談先を決定しましょう

 相談先として考えられるのは、弁護士警察でしょう。消費者問題であれば消費生活センターということも考えられます。

 

 どこに相談するかは、何をしたいかに関わってきます。

 

 詐欺をした人を絶対にゆるせない、罰を受けてほしい、ということであれば、警察に相談に行く方がいいでしょう。

 罰を受けてほしいということであれば、刑事処分を求めることになりますが、刑事処分を受けられるように進めるためには、弁護士だけではどうしようもないからです。

 もっとも、詐欺被害にあったというだけでは被害届を受理してもらいにくいのが実情です。よっぽど話題になっている事件でもない限りは、簡単に罰を受けさせることはできません。

 (一応弁護士が被害届の提出に同行したり、告訴状の作成をしたり、ということはできますが、このような実情から依頼を受けることは難しいことが多いです)

 

 罰を受けてほしい気持ちもあるが、何よりまずはお金を返してほしい、ということであれば、弁護士に相談に行くべきです。

 警察は詐欺罪として捜査をしてくれるかもしれませんが、お金を取り返すことの手伝いはしてくれません。

 交渉をし、場合によっては裁判を起こし、お金を回収するのはもっぱら弁護士の役目となります。

 

 

4 弁護士に依頼をするか検討しましょう

 残酷なことでありますし、許せないことではありますが、弁護士に依頼をしたとしても100パーセントお金を回収することはできません。

 考えてみれば当たり前のことではありますが、詐欺の場合は以下の特徴があります。

・悪いことをしている自覚があるので、連絡が取れなくなる

・だまし取ったお金は使ってしまう

 

 身近な人に詐欺を働く人はあまりいません。インターネットで知り合い、顔も知らないような人に騙されたという相談はよくあります。よく知らない人を追跡するというのは困難です(方法はありますので、今後記事にしたいと思います)。

 

 また、「貯金をしたい」と思って詐欺に手を染める人は聞いたことがありません。

 買いたいものがある、返さなくてはならない借金がある、手に入れたからには遊びに使いたい……このように、詐欺を働いた人は手に入れたお金を使う傾向にあります。

 つまり、詐欺を働いた人に詐欺を認めさせたとしても、取られたお金がそっくりそのまま残っていることなどほぼないのです。

 仮にお金が残っていたとしても、他の人からだまし取ったお金かもしれません(そのお金から返してもらうことは可能です)。

 残念なことに、だまし取ったお金を一括で返せるような余裕がある人は詐欺を働きません。つまり、相手が反省していたとしても分割返済となるわけです。

 

 分割返済だとしても返してもらうことに価値はあります。

 詐欺被害にあった人の中には、生活が苦しくなったために借金をしてしまう人もいます。通常の給料に加え、分割返済分も収入が増えたと発想を転換し、生活を立て直すことも重要なのではないかと私は思います。

 弁護士としてはそのお手伝いができれば幸いです。

 

解雇されたときには弁護士に相談すべきか

  会社で働いて会社から給料をもらって生活をしているというひともたくさんいますよね。

 法律的には会社と従業員との間で「雇用契約(労働契約)」を締結していることになります。

 

 「会社とトラブルになった」という相談もたくさんありますので、労働法シリーズとして、最初は解雇された場合に弁護士に相談するべきかどうかについて、弁護士目線で解説していきたいと思います。

 

 

1 基本的には弁護士に相談すべき

 日本の労働法・裁判例では、解雇された労働者に有利な判断がされるケースがとても多いです。そのため、解雇は基本的には「不当解雇」であると考えて弁護士に相談してもいいと思います。

 

 解雇された人の中には「私が解雇されるはずがない!不当解雇だ!」というひともおり、そういうひとはすぐに弁護士に相談します。「先生、会社に不当解雇されたんですよ。どうすればいいですか?」と、弁護士が判断する前に自分の中で結論を持っており、どうやって会社に復讐するかその方法を聞くために相談に来ています。

 

 しかし、上記のとおり解雇は基本的に「不当解雇」と考えてしまってもいいですので、「私が悪かったから解雇されたんだな…」と思った人であってもとりあえず弁護士に相談するべきです。弁護士は守秘義務を負ってますから解雇されたことが周囲の人に知られることはないですし、無料相談であれば負担はありません。

 

 解雇の中には争っても不当解雇と認められないケースもあるかもしれません。しかし、そのような場合には次の職を探すきっかけにすることもできます。

 

2 なんとか会社に残りたいという相談は難しいことが多い

 即日で解雇される場合もありますが、多くの相談では解雇予告を渡されて1ヶ月後に解雇されると分かった時点でいらっしゃいます。

 この期間であれば解雇はされていない段階ですので、「解雇されたくない!今の会社で働き続けたい」と考える相談者もいます。しかし、解雇というのは会社が取れる一番強い処分です。もう同じ会社で働いて欲しくないという意思表示です。

 人間関係で言えば、「離婚しましょう」と言われたよりも強い意思表示です。離婚しようと言われてからの人間関係回復は難しいです。それと同じで解雇を告げられ、書面まで作られた場合にはもう働き続けることは難しいです。

 

 もちろん不当解雇であることを主張し、解雇が無効であれば、会社と労働者との労働契約は残り続けていることになるのですから、翌日から何事もなかったかのように出社し、仕事を始めることはできます。しかし、会社としては解雇は有効と考えているのですから、法的に無効な解雇であっても解雇した従業員に仕事は与えないですし、給料は払いません。また、会社への立ち入りを禁止することもあるでしょう。

 

 そのため、解雇された場合には「こんな会社やめてやる!」と思い切ることが大事な場面も多いでしょう。

 ただ、和解をするなかで会社に復帰できる可能性もありますので、「解雇された会社に残ることが自分にとっていいのだろうか」「復帰したとして他の従業員との関係で働きづらくないだろうか」と考え、それでもいいというのであれば復帰したいという要望を弁護士に伝えるために相談に行ってみましょう。

 復帰は仕方ないが不当解雇は許せないというのであれば解決金を取れるケースもあるので弁護士に相談に行ってみましょう。

 

 

 なお、会社に在籍し続ける自体に価値があるケースがあります。

 例えば、新卒で採用された初めての会社に試用期間満了で本採用拒否(実質解雇)されてしまったが、このままではキャリアに傷がついて転職が難しくなりそうだという場合もあります。

 不当解雇であることを争い、仮に会社に残ることができなかったとしても、不当解雇であることを認めさせ、退職日を1年ごとすることで見た目のキャリアをよくすることはできます。

 このような場合には会社に残ろうとして弁護士に相談するべきでしょう。

 もちろん経歴上在籍していたとしても実際に仕事をしていたわけではないのでキャリア的に意味がないかもしれませんし、1年伸ばしたところで意味がないという判断もあるかもしれません。

 

 

 

 結論として、解雇されてしまった場合には弁護士に相談するべきです。その場合には解雇予告通知書や解雇理由証明書を準備しておきましょう。会社から受け取っていない場合には、会社に対して発行を請求しましょう。

 特に解雇理由証明書を準備してあると弁護士としても見通しを立てやすいので充実した相談になると思います。

 

 

 

弁護士に相談→依頼→終了の流れについて

 弁護士に依頼しようと決めたとしても、実際に依頼したことのあるひとは少ないはずです。「こういうこと初めてなのでわからないのですが…」と不安そうな人はたくさんいます。

 そこで、今回は、依頼するまでの流れから、依頼が終了するまでの流れを解説していきます。この記事を読んで不安を解消していただいてから弁護士にご依頼してください。

 

 

1 依頼するまでの流れ

①  相談する弁護士を決めて法律相談に行く

 「弁護士に依頼しよう!」と思って「依頼したいです!」と法律事務所を訪ねて行っても「予約がない方はちょっと…」とお断りされてしまいます。法律事務所に来る人にはいろんな人がいます。セキュリティの観点からいきなりの訪問はけんえんされることが多いです。

 また、弁護士としても受けることができない依頼というものはあります。いきなり依頼を受けることはできません。まずは法律相談の申し込みをしましょう。

 

②  法律相談を受けて弁護士との委任契約を締結する

 いざ法律相談を受けてこの弁護士に依頼したいとなったらどうするか。弁護士との間で委任契約を締結しましょう。この委任契約は、弁護士にどんな仕事をしてもらって、それに対してどれくらいの報酬を支払うのかを文書化するものです。

 「この先生なら信頼できそうだから契約書がなくても大丈夫」と思ったとしても必ず作成してもらいましょう。依頼した後で思ったのと違うなと思うこともあります。また、成功報酬についてはその算出方法で弁護士と揉めることもあります。不安であればしっかりと確認しておきましょう。

 なお、弁護士には、依頼を受けるときは契約書を作るように弁護士職務基本規定で定められています。もし契約書を作ることを嫌がるような弁護士がいたらその人は危険です。依頼することを検討し直した方がいいでしょう。

 

③  着手金を支払う

 報酬の決め方についてはいろいろなものがあります。ですが、今でも「着手金」「成功報酬」という形で報酬を定める弁護士は多いです。

 「着手金」とは弁護士が事件に着手する前にもらう報酬です。成功の如何にかかわらずもらうものです。そのため、期待通りの結果にならなかったとしても、返金を求めることができません。また、実際に弁護士が動き始める前に支払わなければいけないことが多いです。そのため、依頼したいが着手金が払えないということもありえます。そのときは分割払いを提案してみたり、法テラスの利用を検討してみましょう。

www.houterasu.or.jp

 

④  弁護士の着手スタート!

 

2 依頼してからの流れ

 依頼した後に弁護士としてどのように動くのは事件によって千差万別です。全く異なることになります。しかし、共通する部分はあります。以下ではそこについて説明します。

 

①  事件の進捗報告を受ける

 訴訟代理人となることを委任した場合には、裁判に行くという仕事をしています。

相手方との交渉を依頼すれば相手方と交渉を進めていることになります。

 その都度依頼を受けた弁護士としては、事件の進捗を依頼者に報告することが望ましいです。

 進捗報告を受けた依頼者としては、事件の進め方について要望を伝えたり、疑問点を質問して解消しましょう。ちょっとおかしいと思ったけどあとでいいやと思って…などと考えてすすめていくと、弁護士としても「あのときは何も言わなかったのに」と驚いてしまいます。事件によっては後戻りできないこともあります。早めに不満点は伝えておきましょう。

 

 また、進捗報告が遅れてしまう弁護士もいます。そもそも進捗報告を欠かせてしまう弁護士だったり、その次の仕事が入ってすぐに報告できない状況だったりします。進捗報告があまりにも遅れたら弁護士に催促しましょう。

 弁護士としても優先度をつけて仕事をしており、優先度が低いと感じたら事件を進めるのが遅れることもあります。どうして報告しないんだ!と怒っても仕方ありません。「急ぐ必要はないのですか?」とやんわり確認してみてください。弁護士としてもその理由を説明しやすいです。

 

②  事件を進めるための判断をする

 依頼をしたら全て弁護士にまかせっきりということはあまり多くありません。

 裁判官から和解を勧められたり、相手方から予想していなかった重要な証拠が提出されたりするときがあります。和解に応じるかどうか、敗訴を見越して和解で解決するかどうか、など決断しなければいけないことはあります。

 弁護士としても依頼者に決断をお願いすることになります。そのときは決断をしましょう!

 自分では分からないときやどうするのがいいのか迷うときはどうしたらいいか。遠慮なくその弁護士に質問しましょう。弁護士はそれぞれの決断をしたときのその後の展開を予想できます。メリットデメリットを比較してもらって決断を下しましょう。

 

③  清算をする

 事件が終了して終わりではありません。成功報酬を支払ったり、交通費などの実費を清算したりすることになります。

 せっかく依頼した事件がスッキリ終わったとしても、弁護士との間で新しい金銭トラブルが生まれては気持ちよく先に進めないというものです。

 契約書に書かれた条件での成功報酬となっているか、交通費などの実費に不審なところはないか、きちんと確認して清算を終わらせましょう。

 

 金銭的な清算だけでなく、預けていた証拠の返還も忘れずに求めておきましょう。預けていたものの返還でもトラブルは多いところです。

 

④  最後に

 対価を受け取って仕事をしていますので、別に義務とかではないのですが、事件が終了したら弁護士に「ありがとう」などの感謝の言葉をかけていただけると嬉しいです。

 最初は暗い顔をして相談に来た依頼者が明るい顔をして最後は帰って行ったのであれば、次も頑張ろうと思うことができます。また、弁護士からの印象も良くなり、事後の相談などアフターフォローも良くなるかもしれません。

弁護士が考える「弁護士に依頼するべきかどうかの基準」について

 今までに「弁護士に相談するべきかどうか」「どんな方法で弁護士を探すべきか」について記事を投稿してきましたが、今回は「弁護士に依頼するべきかどうか」について弁護士側の視点で書いていきたいと思います。

 

 弁護士の無料法律相談を利用してみたはいいけど、

・着手金は結構かかるし

・弁護士に依頼するなんて初めてで依頼したあとどうなるかわからないし

・絶対に勝てますって言われないと不安だ

などの様々な不安があって弁護士に依頼するのを躊躇する方もたくさんいらっしゃいます。

 

そこで、そんなときにどう決断するべきかについて私なりに書いていきます。

 

1 弁護士じゃなければできない仕事をしてもらうときは依頼するしかない

 刑事事件の弁護人は、ほぼ弁護士しかできません。家族が逮捕・勾留され、起訴されたために弁護人を依頼したいというときには、弁護士に依頼するしかありません。どんな弁護士に依頼するかどうかはまた別の問題ですが、依頼するかどうかというところで悩んでいる時間もありませんので、依頼する弁護士を決めたらすぐに依頼した方がいいでしょう。

 

 

2 弁護士の専門分野については依頼した方がいい

 民事訴訟などは、弁護士を代理人として選任しなくても自ら起こすことができるようになっています。

 自分で訴訟をすることもできますが、相手が弁護士をつけてきた場合には、弁護士相手に裁判をたたかっていかなくてはならないことになります。法律論だけでなく、どんな証拠を集めるかなどの能力では、弁護士は専門家ですから、自分で裁判をする人との力の差はどうしても出てしまいます。

 どうしても勝ちたい、少しでもいい結果にしたい、というのであれば、弁護士に依頼した方が無難です。

 

 ただし、被告(訴えられた側)の場合で、最初から訴状に書かれていることを認めて和解を求めたいというのであれば少し別です。

 たしかに、和解交渉についても弁護士の専門分野ですが、支払金額(総額いくら払うか)や支払方法(どのような分割で払うか)を話し合うだけでしたら、高い弁護士費用を払うより、自分で交渉を進めた方がいいでしょう。もちろん、交渉の方法などを弁護士に相談するのもアリかもしれません。

 

 

3 相手と関わりたくないときには依頼した方がいい

・相手から恐喝を受けている、脅迫を受けている

・DVをしてきた夫と関わりたくない

・加害者と示談で終わらせたいが、自分では会いたくない

などなど、相手と直接に関わりたくないという相談者はたくさんいらっしゃいます。

 

 弁護士に相談するようなトラブルはもはや本人同士では解決できないものがたくさんあります。そんなときに弁護士を代理人として立てることは、結果が良くなることのメリット以上に、自分の代わりになってくれるというメリットの方が大きいことがあります。

 もちろん弁護士以外の人を間に入れることもできます(非弁業者と言われる存在については注意です)。しかし、相手からすれば、よくわからない人が相手の代わりに話をしてくれば警戒してしまうものです。トラブルがセンシティブな内容であるほど、よくわからない人間に対して自分のことを話してくれないでしょう。そうすれば、解決からは遠ざかってしまいます。その点、弁護士というのは社会的に知られている職業ですので、「弁護士です」と言われればよくわからない弁護士であっても相手としては話をしてくれるでしょう。

 

 お金を払ってでも相手と関わりたくないという場合には弁護士に依頼してみましょう。

 

 

4 「弁護士」の名前を使いたいときは依頼しましょう

 自分でお金を返して欲しいと言っているがなめられているのか一向に返してくれないなど、自分ではどうにもならないというときがあります。

 そんなときに弁護士に依頼するのは一つの手です。

 

 誰でもいきなり「弁護士」を名乗るひとから電話があったり、直接会いに来られたり、書面が届いたらびっくりすると思います。人によっては、訴えられるんじゃないかと心配するかもしれません。

 少なくとも弁護士に依頼するということはお金をかけているということであり、そのトラブルを真剣に解決したいと考えていることは間違いありません。

 弁護士を立てられた相手は、きちんと対応しなければ訴えられるかもしれないと思い、今まで自分がやっていたときとは違う反応があるかもしれません(それでも全く対応を変えない図太い人もたまにはいます)。

 

 弁護士以外の人に弁護士を名乗ってもらうのは弁護士法違反の行為になりますので、弁護士を名乗って欲しいからと言って自分で嘘をついたり、弁護士役をしてくれる人に依頼したりする行為は控えましょう。

 

 また、相手に対する威嚇効果だけでなく、弁護士を使うことは周囲の人に対する効果を持ちます。

 例えば従業員が会社のお金を持ち逃げして横領したなどの場合に、会社として対応することはもちろんですが、例えば会社が弁護士を立てて持ち逃げをした従業員への対応を考えていると分かれば、他の従業員としては自分は不正行為をしないようにしようと思うこともあるかもしれません。弁護士を立ててくれる=お金を払って対処してくれるという意味を持つこともあります。

 

 

5 それでも弁護士に依頼するべきか迷ったら弁護士に聞きましょう!

 ここまでの基準を踏まえて依頼したいと思う方もいれば、「でもお金がかかるし…」と思う方もいるかと思います。

 そんなときはその弁護士に依頼した方がいいかを相談してみましょう♪

 

 弁護士に聞いたら依頼した方がいいっていうに決まってるじゃん…と疑う人もいるかもしれませんが、弁護士の立場からしても必ずしもそういうとは限らないと言えます。

 

 例えば、友達に貸した10万円を返してもらうために、20万円払って弁護士に依頼したいと言われても、弁護士としてはそれはやめたほうがいいですよと説明します。

 自分としては絶対に訴えたいから依頼したいと思っていても、弁護士が証拠がないので事件は受けられないと説明することもあります。

 このように、依頼者にとってメリットがないときには、弁護士としても依頼しない方がいいということは伝えます。人によるかもしれませんが、弁護士はたくさんの案件を同時に進めていることもあり、忙しい人が多いので、無理に依頼を受けたいとまで思っていない人もいます。

 

 また、詳しくない分野に関する事件などについては、基本的に受けないことを選ぶことが多いです。相談してみたけどあんまり自信がなさそうな弁護士については、依頼したいと思わないのが普通ですし、依頼するメリットも少ないと思います。不安を覚えるようでしたら、別の弁護士に相談して依頼を検討してみましょう。依頼しないで終わるお客さんもたくさんいますから、相談だけして依頼しないということにあまり罪悪感は抱かなくてもいいんですよ。

 

 依頼して終わりではなく、事件が終わるまで弁護士とはなんども連絡を取ることになります。このひととやっていけるのだろうかと思うのであれば、その弁護士に依頼することはやめたほうがいいかもしれません。

弁護士がオススメする弁護士の選び方

 弁護士に相談したいと思っても、いざ相談するとなるとどんな弁護士に相談していいか分からないという人もいるかもしれません。

 2018年3月31日現在で、日本には弁護士が40,066人もいるらしいです。

www.nichibenren.or.jp

 

 

 そこで、弁護士の一人としてどんな弁護士に相談したらいいかという自分なりの考えを公開します!

 私ももし自分がトラブルに巻き込まれたら以下のような方法で弁護士を探すと思います!

 

 

 

1 探し方編

①  インターネットで検索

 一番簡単な方法であり、一番お勧めできる方法です。

 今は「弁護士 相談」などと検索すれば、多数のポータルサイトや法律事務所のHPがヒットします。 その中で自分が相談したいと思える弁護士を選びましょう。

 初めてという方であれば、ポータルサイトで探すのがオススメです。

 弁護士ドットコムや、ココナラ法律相談、Legalus、日弁連が運営しているひまわりサーチなどたくさんあります。登録している弁護士はそれぞれ違いますが、あまり違いを比較していても仕方ありませんので、ひとつを選んで弁護士を探してみるのがいいでしょう。

www.bengo4.com

legal.coconala.com

legalus.jp

www.bengoshikai.jp

 

②  知っている弁護士を探す

 例えば、友人や親族に弁護士はいないか、友人や親族が依頼したことのある弁護士はいないか、テレビに出ている弁護士は相談を受け付けているか、など知っている又は身近な人が知っている弁護士であれば、安心して相談できる可能性も高いですし、弁護士しても無下にはできないので丁寧に相談に乗ってくれるでしょう。

 もっとも、イメージと違うということは往往にしてありますので、覚悟はしておきましょう。

 

③  弁護士会や市役所などの法律相談会を利用する

 弁護士会では法律相談を受け付けております。その際には、どんな弁護士が担当するかはわかりませんので、運の要素が強いと思います。

 弁護士会が行なっているものだから…と思うかもしれませんが、法律相談会はいくつかの研修を受けた人などから手を挙げた弁護士が行なっているのであって、特に優秀な弁護士が選ばれて行なっているというわけではありません。

 このブログを読んでいるような方はインターネットを使える方ですので、あまり弁護士会や市役所の法律相談会はお勧めできません。

 

2 弁護士の選び方編

① 弁護士による無料相談を受け付けているか

 初めて弁護士に相談するという人にとっては、弁護士に相談するとどんな結果が待っているのかは全く分かりません。1時間5万円などとても高い相談に言ったはいいものの「専門じゃないので…」などと渋い反応をされてはお金が無駄になってしまいます。

 その点、無料相談であれば、たとえ相談結果が芳しいものでなかったとしても「まぁ無料だし、他のところにも相談してみようか」と切り替えることはできます。

 

 無料相談とは言っても、弁護士としてはボランティアで行なっているわけではありません。無料相談をしたなかに、受任につながる事件を探しているのです。

 よって、「無料相談」と書かれていたとしても、連絡を取ってみたら有料だったということはあります。

 

 また、無料相談というのは最初の1回だけということが多いです。これは受任できそうだと弁護士が考えるときは特別に2回目以降も無料相談にすることはありますが、基本的には無料相談は1回だけです。

 ですので、「無料相談を使いつつ、裁判は自分で進める」という方法は基本的には難しいです(もちろんいろんな初回無料相談を使いまわすという方法は取れなくはないですが、裁判の途中の事件を無料相談ではあまり受けたくないと感じる弁護士は多いかと思います。)。

 

 

②  電話での相談を受け付けているか

 近くに法律事務所がない地域では、法律事務所まで出向いて法律相談を行うというのは大変なことです。

 電話での相談を行なっているのであれば、わざわざ法律事務所までいかなくても法律相談を受けられますし、遠くの専門的な法律事務所の法律相談も受けることができます。

 

 たしかに、「依頼することを検討しているから、直接顔を合わせて相談したい」という要望を持っている人はいるかもしれません。しかし、依頼する弁護士の選び方については別に記事を書きますが、まずは気軽に電話相談をし、実際に依頼する段階になって直接面談を求めに事務所に行くという方法も取れます。電話で相談できるというメリットを活かしましょう。

 

③  法律相談を受け付けている曜日・時間帯が合うか

 平日昼間は働いているという方にとって、平日昼の時間帯にしか営業していない法律事務所に法律相談をお願いすることはできません。

 今は、仕事終わりに法律相談を受けられる事務所や、土日祝日であっても開いている事務所があります。自分が法律相談に行ける事務所を選ぶことは大事です。

 

 

④  相談したい分野について詳しいか

 自分が相談したい分野について詳しくない弁護士に相談しても、そもそも相談を断られるか、為にならない答えが返ってくるだけです。

 自分が相談したい分野について詳しい弁護士であれば、適切なアドバイスをもらえると思いますので法律相談相手に選ぶのがいいでしょう。

 

 しかし、普通は弁護士がどの分野に詳しいかなんてことは知りません。

 弁護士は、いろんなお客さんに来て欲しいので「労働問題に強い」「離婚問題に強い」などと自分が強い部分をアピールしてきます。もっとも、どの弁護士もある程度できる話を営業のために「強い」とアピールしている場合もあれば、本当に詳しくてその分野をアピールすることがあります。

 

 相談したい分野を扱っている弁護士が少なそうであれば、その分野に強いと謳っている弁護士は本当に強い可能性が高いです。一方で、離婚問題などいろいろな弁護士が扱っている分野の場合には、「その事務所がその事件ばかり扱っているか」で判断するのがいいでしょう。特定のタイプの事件ばかり扱っている弁護士であれば、本当に強い可能性が高くなります。

 また、難しそうな専門書を出している弁護士であれば、その分野に詳しい可能性が高いです。もっとも、いろいろな分野の本を出している弁護士もいますので、その弁護士は本を出しているからといって専門性が高いとは限らないです。

 

⑤  話ができそうな弁護士か

 相談したい方は若い方の場合、同じくらいの年齢の弁護士には相談しやすいでしょうし、かなり年の離れた弁護士には相談しにくいかもしれません。相手の方が年上だし、すごくベテランみたいだから、思うように相談できなかったということはあるかもしれません。

 弁護士というのは経験がモノをいう部分もありますが、必ずしも年齢が高いほど弁護士として優秀というわけではありません。ですので、若いからダメということもありませんから、まずは話しやすい弁護士に相談してみましょう。

 今は、顔写真や一言コメントを載せている法律事務所やポータルサイトもありますから、見た目で選ぶというのも大事なことです。

 

 

最後に

 法律相談は、そのあとの依頼するかどうかを決める前提となる重要なものです。「法律相談の時に違和感を覚えていたのにそのまま依頼したら案の定弁護士とうまくいかなかった」というのは不要なストレスを抱えるだけです。

 まずはご自身にとっていい法律相談ができるよう、自分とマッチした弁護士を探しましょう。

 

 

これって法律問題?弁護士に相談がいいの? 弁護士に相談してみようか迷っている方へ

「相手をゆるせない!訴えたい!」と最初から法律問題として相談に来る人もいれば、「そもそもこれって誰に相談すればいいんでしょうか?」と自信なさげに相談に来る人もいます。

 

家族や友人に弁護士がいなければいきなり弁護士に相談していいものか迷う方もいると思います。

今回は、そんな方のために相談するべきかどうかを弁護士の立場から話します。

 

 

1 基本は相談するべき

 弁護士に相談してみようかと一瞬でも思った問題であれば、その問題はほぼ弁護士に相談する対象にはなります。

 日常生活のあらゆるものが法律や契約で決められていますので、ほとんどのトラブルについては弁護士に相談し、弁護士がアドバイスできるものです。

 ですので、少しでも弁護士に相談してみようかと思ったのであれば、気軽に弁護士に相談してみましょう。

 

 相談を受ける側の弁護士としても、相談者が「私のトラブルは民法 条に該当するももので、こういう訴訟を起こしてこういう風に解決してほしい」など具体的に悩みを相談されるとは全く思っていません笑

 話を聞く中で弁護士が法律的な知識や経験からお話を整理していくことになります。

 

 事務所や弁護士によっては、事務員が最初に相談を聞いてその場で暗にお断りをされる場合があると思います。そのときに「弁護士が話を聞いてくれなかった」と思うかもしれません。

 たしかに、事務所によってはお金にならない相談を受けないという事務所もあるかと思います。しかし、きちんと相談を受け付けている事務所であれば、そもそもあなたの悩みは弁護士に相談しなくても解決できる悩みということで事務員限りで終わらせてしまったという可能性もあります。それはそれで弁護士までいれて争いにしなくてもいい問題だということが分かったと捉えてみましょう。

 

2 弁護士より専門家がいるときはそちらへ

 たとえば、風邪をひいた、怪我をしたというときに弁護士に相談しに行くという人はいないと思います笑

 ときどき、弁護士以外に専門の職業がある相談を受けるときがあります。たとえば、「この場合はどのような税金を払わなければいけないのでしょうか?」というものはときどきあります。たしかに、税金も法律で決められていますので、弁護士の分野といえば弁護士の分野ではあるのですが、税理士というより専門の職業がありますので、そちらのほうに相談したほうがいいでしょう。仮に弁護士に相談して答えが得られたとしてもそれがトラブルの解決として適切かは分かりませんからね。

 

 

3 弁護士に相談するよりもすぐに解決する方法があるときはその方法を選びましょう

 弁護士は全知全能の神ではありません。だから、弁護士に聞いても知らないことはたくさんあります。

 「相手に怪我をさせてしまった。被害者に訴えられるか」という相談をする方は、自分が悪いことをしたのはわかっているし、法律的には損害賠償請求されるのもわかっている。でも、相手が本当にそこまでやるのは不安。いきなり、警察が来て逮捕されたりしたらどうしよう。など未知の事態に不安になっていてそれを知りたいという要望を持っているんだと思います。

 

 法律的にどうなるのかの結論がわかってしまえば、あとは被害者がどう行動するかは被害者しか知りません。弁護士に相談したところで、正解は得られません。弁護士としては表現の違いはありますが「訴えるときは訴えるし、訴えないときは訴えない」という内容の回答しかできません。

 たしかに、弁護士の経験からこういう場合には訴えていたとかこのときは逮捕されたというアドバイスはできますが、だからといって今回の被害者がどう動くかまでは分からないのです。それでもよいというのであれば弁護士に相談してみましょう。

 

 

 

4 弁護士に相談するタイミングではないときは時間を置くのもアリです

 今怪我した。すごく体調が悪い。

 まさに今暴行を振るわれたところだ、相手が許せないので訴えたい、などと思ったとしてもまずは警察に連絡した上で病院に行ったほうがいいでしょう。

 また、突然のトラブルで動揺しているというときもあるでしょう。

 

 弁護士は医者でもカウンセラーでもないので、もしかしたら弁護士に相談することでなおさら辛い気持ちになるかもしれません。私も精神的に参っているなと思う相談者にはできるだけ丁寧に話を聞いてあげるようにはこころがけますが、内心「話すだけで解決できるならいいけど、これは話すだけで解決できる問題でもないし、まずは気持ちを整理したほうがいいな」と思うこともあります。

 

 「今日、旦那が不倫相手と出ていった」と相談をする場合、離婚するのかしないのか、離婚するとしたら親権はどうするか、今後の住居は?、誰に損害賠償請求するのか、などいろいろと法律的に決めなくてはいけないことや取れる手段があります。

 弁護士が取れる手段をアドバイスして、気持ちを整理するお手伝いはできます。しかし、法律相談が有料(30分5000円(消費税別)のところが多いようです)のところもあり、たくさん話しているうちに肝心なアドバイスがもらえなかったり、ちゃんと話を聞いてもらえなかったり、という不満を持つことになるかもしれません。

 まずは心を落ち着けて、今後自分はどうしたいのか、それを整理した上で相談に行ったほうが弁護士の話もちゃんと耳に入りますし、自分の目標もはっきりします。

 

 動揺した状態で弁護士に相談に行って、弁護士に煽られて高い着手金を払ったものの思った通りにはいかなかった、というのは最悪のパターンでもあります。

 まずは友人に相談したりするなど時間を置いてみるのも大事です。

 

 

最後に

ようするに、直感的に弁護士に相談してみようかなと思ったら弁護士に相談してみるのがいいでしょう。

他の人に相談することを先に思いついた場合には、まずはそちらの方に相談して、それで解決しなかったときにはそこで相談した人にどこに相談すればいいか聞いてみましょう。親切な方であれば相談先をアドバイスしてくれると思いますよ!